支援プログラム

児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援

ア 本人支援

「本人支援」とは、障害のある子どもの発達の側面から、心身の健康や生活に関する領域「健康・生活」、運動や感覚に関する領域「運動・感覚」、 認知と行動に関する領域「認知・行動」、言語・コミュニケーションの獲 得に関する領域「言語・コミュニケーション」、人との関わりに関する領 域「人間関係・社会性」の5領域を相互に関連づけた支援プログラムである。「本人支援」の大きな目標としては、障害のある子どもが、将来、日常生活や社会生活を円滑に営めるようになることである。

 

(ア)健康・生活

a ねらい

(a)健康状態の維持・改善

(b)生活のリズムや生活習慣の形成

(c)基本的生活スキルの獲得

b 支援内容

(a)健康状態の把握

利用時に、健康状態のチェックと必要な対応を実施していく。

子どもの障害の特性に合わせて保護者もしくは保育所等の支援者に対して口頭で心身の状況を確認していく。また、利用中に体調の変化がある場合には適切な対処(例:医療機関への受診、保護者への状況の報告など)を行っていく。

 

(b)健康の増進

長時間の利用となる場合には、昼食を利用し食育を実践していく。なお、子どもの障害特性として、口腔内機能・感覚等に配慮することや、摂食時の姿勢の調整および自助具等に関する支援を行っていく。また、家庭での食事に関しても専門職(言語聴覚士、作業療法士等)が適時必要な評価を実施し支援の提案を行っていく。

 

(c)リハビリテーションの実施

 言語聴覚士、作業療法士などの医療的な専門職が子どもの障害特性に応じて必要な個別のリハビリテーションを提供していく

 

(d)基本的生活スキルの獲得

食事、衣類の着脱、排泄、身なりを整える等の生活を営む上で必要となる基本的技能の習得に対して、一対一での対応を基本とし視覚情報の提示(例:イラストなど)など子どもの障害特性に合わせた指導を実践していく。

 

(e)構造化等により生活環境を整える

 TEACCHプログラムを参考に子どもの特性に合わせた環境面からのアプローチを実践していく。

 

(イ)運動・感覚

a ねらい

(a)姿勢と運動・動作の向上

(b)姿勢と運動・動作の補助的手段の活用

(c)保有する感覚の総合的な活用

b 支援内容

(a)姿勢と運動・動作の基本的技能の向上

専門職(作業療法士など)が一人一人の子どもを適切に評価し、日常生活に必要な動作の基本となる姿勢保持や上肢・下肢の運動・動作の改善及び習得、関節の拘縮や変形の予防、筋力の維持・強化などに関する支援内容を立案し実践していく。

なお、長時間利用などの際には地域の環境資源として体育館や室内競技場などを積極的に活用していく。

 

(b)姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用

専門職(作業療法士など)が一人一人の子どもを適切に評価し、姿勢の保持や各種の運動・動作が困難な場合があれば、様々な補助用具等の補助的手段を活用し支援していく。

なお、補助用具の申請などの手続きに関しては、相談員や地域福祉課と連携をしていく。

 

(c)身体の移動能力の向上

子どもの障害特性に合わせて自力での身体移動や歩行、歩行器や車いすによる移動など日常生活に必要な移動能力の向上のために運動に関する支援プログラム(例:サーキット、ボール遊び、鬼ごっこなど)を実施していく。

 

(d)保有する感覚の活用

専門職(作業療法士等)が適切に評価を行い、子どもの発達段階及び特性に配慮した視覚、聴覚、触覚等の感覚を十分に活用できるような遊び(新聞遊び、ボールプール、トランポリン等)を実践していく。

 

(e)感覚の補助及び代行手段の活用

保有する感覚器官を用いて状況を把握しやすくするよう眼鏡や補聴器等の各種の補助機器を活用できるよう支援する。

 

(f)感覚の特性(感覚の過敏や鈍麻)への対応

専門職(作業療法士など)が適切に評価を行い、感覚や認知の特性(感覚の過敏や鈍麻)を踏まえ、感覚の偏りに対する環境調整等の提案及び支援を行う。

 

(ウ)認知・行動

a ねらい

(a)認知の発達と行動の習得

(b)空間・時間、数等の概念形成の習得

(c)対象や外部環境の適切な認知と適切な行動の習得

b 支援内容

(a)感覚や認知の活用

視覚、聴覚、触覚等の感覚を十分活用して、必要な情報を収集して認知機能の発達を促すために制作活動(例:折り紙など)や身体遊び(平均台など)を学習プログラムとして取り入れていく。

 

(b)知覚から行動への認知過程の発達

専門職(言語聴覚士など)が、環境から情報を取得し、そこから必要なメッセージを選択し、行動につなげるという一連の認知過程を適切に評価し、子どもの特性に合った環境調整ならびに関わり方に関する支援を実践していく。

 

(c)認知や行動の手掛かりとなる概念の形成

物の機能や属性、形、色、音が変化する様子、空間・時間等の概念の形成を図ることによって、それを認知や行動の手掛かりとして活用できるように机上であれば認知教材(型はめ等)を活用し取り組んでいく。

 

(d)数量、大小、色等の習得

日常生活場面での活動(食事や衣服の着脱など)を通じて、子どもの発達段階に対応した数量、形の大きさ、重さ、色の違い等の習得のための具体的な働きかけ(例:声掛けなど)を日常生活の中で行う。

 

(e)認知の偏りへの対応

 専門職(作業療法士など)が一人一人の子どもを適切に評価し、認知の特性を把握し情報を適切に処理できるような環境調整や支援者の関わり方の指導や調整を行っていく、また、保護者に対しても認知の偏り等の個々の特性に関する情報を伝えこだわりや偏食等に対する家庭での具体的な支援を提案していく。

 

(f)行動障害への予防及び対応

感覚や認知の偏り、コミュニケーションの困難性から生ずる行動障害に対して事前に環境調整など予防策を講じ、適切行動の獲得に向けた適切な支援を行う。

 

(エ)言語・コミュニケーション

a ねらい

(a)言語の形成と活用

(b)言語の受容及び表出

(c)コミュニケーションの基礎的能力の向上

(d)コミュニケーション手段の選択と活用

b 支援内容

(a)言語の形成と活用

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、具体的な事物や体験と言葉の意味を結びつける等により、体系的な言語の習得、自発的な発声を促す支援プログラムを立案し実践していく。

 

(b)受容言語と表出言語の支援

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、子どもの発達段階に応じた話し言葉や各種の文字・記号等を用いて、相手の意図を理解したり、自分の考えを伝えたりするなど、言語を受容し表出する支援を行う。

 

(c)人との相互作用によるコミュニケーション能力の獲得

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、個々に配慮された場面における人との相互作用を通して、共同注意の獲得等を含めたコミュニケーション能力の向上のための支援を行う。

 

(d)指差し、身振り、サイン等の活用

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、子どもの発達段階に対応するコミュニケーション手段(例:指差し、身振り、サイン等)を選定し、環境の理解と意思の

伝達ができる機会を積み重ねていけるように環境及び関わり方の調整を実施していく。

 

(e)読み書き能力の向上のための支援

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、障害の特性に応じた読み書き能力の向上のための支援を行う。

 

(f)コミュニケーション機器の活用

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、各種の文字・記号、絵カード、機器等のコミュニケーション手段を適切に選択、活用し、環境の理解と意思の伝達が円

滑にできるよう支援する。

 

(g)手話、点字、音声、文字等のコミュニケーション手段の活用

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、手話、点字、音声、文字、触覚、平易な表現等による多様なコミュニケーション手段を活用し、環境の理解と意思の伝

達ができるよう支援する。

 

(オ)人間関係・社会性

a ねらい

(a)他者との関わり(人間関係)の形成

(b)自己の理解と行動の調整

(c)仲間づくりと集団への参加

 

b 支援内容

(a)アタッチメント(愛着行動)の形成

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、人との関係を意識し、身近な人と親密な関係を築き、その信頼関係を基盤として、周囲の人と安定した関係を形成する

ための支援を実践していく。

 

(b)模倣行動の支援

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、遊び等を通じて人の動きを模倣することにより、社会性や対人関係の芽生えを促していく環境調整並び関わりを実践していく。

 

 (c)感覚運動遊びから象徴遊びへの支援

 専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、子どもの発達段階に応じた感覚機能を使った遊びや運動機能を働かせる遊びの環境を整え、その上で、次の発達段階として見立て遊びやつもり遊び、ごっこ遊び等の象徴遊びへ促すための関わり方を提案し支援者が実践していく中で、徐々に社会性の発達を支援する。

 

(d)一人遊びから協同遊びへの支援

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、発達段階に応じた支援者の関わり方を提案し、周囲に子どもがいても無関心である一人遊びの状態から並行遊び、大人が介入して行う連合的な遊び、役割分担したりルールを守って遊ぶ協同遊びといったスモールステップでの遊びの育ちを促し社会性の発達を支援する。

 

(e)自己の理解とコントロールのための支援

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、子どもの発達段階に応じた支援者の関わり方を提案し、大人を介在して自分のできること、できないことなど、自分の行動の特徴を理解するとともに、気持ちや情動の調整ができるようになるための支援を実践していく。

 

(f)集団への参加への支援

専門職(言語聴覚士)が一人一人の子どもを適切に評価し、子どもの発達段階や特性に応じた環境調整並び関わり方の提案を行い、子ども自らが自発的に集団に参加し手順やルールを理解し、遊びや集団活動に参加できるよう支援していく。

 

イ 移行支援

 「移行支援」とは、地域社会で生活する平等の権利の享受と、地域社会への参加・包容(インクルージョン)の考え方に立ち、障害の有無にかかわらず、全ての子どもが共に成長できるよう、障害のある子どもに対する「移行支援」を行い可能な限り、地域の保育、教育等の支援を受けられるようしていくとともに、同年代の子どもとの仲間作りを図っていけるための支援プログラムである。

 

(ア)ねらい

a 保育所等への配慮された移行支援

b 移行先の保育所等との連携(支援内容等の共有や支援方法の伝達)

c 移行先の保育所等への支援と支援体制の構築

d 同年代の子どもとの仲間作り

 

(イ)支援内容

a 具体的な移行を想定した専門職(作業療法士など)による子どもの発達の評価

b 合理的配慮を含めた移行に当たっての移行先の環境の評価

c 具体的な移行先との調整

d 家族への情報提供や移行先での環境調整

e 移行先との援助方針や支援内容等の共有、支援方法の伝達

f 子どもの情報・親の意向等についての移行先への伝達

g 併行通園の場合は、利用日数や時間等の調整

h 移行先の受け入れ体制づくりへの協力

i 相談支援等による移行先ヘの支援

 

ウ 支援に当たっての配慮事項

 淡路市児童発達支援センターの職員は、障害のある子どもの発達の状態及び発達の過程・特性等を理解し、一人一人の子どもの障害種別、障害の特性及び発達の状況に応じた支援を行い、障害種別に応じて、設備・備品への配慮のほか、子どもや保護者との意思の疎通、情報伝達のための配慮を行っていく。

 

(2)家族支援

「家族支援」とは、障害のある子どもを育てる家族に対して、障害の特性に配慮し、子ど

もの「育ち」や「暮らし」を安定させることを基本とし保護者が子どもの発達を心配する気持ちを出発点とし、障害があっても子どもの育ちを支えていける気持ちが持てるようになるまでの過程において、関係者が十分な配慮を行い、日々子どもを育てている保護者の思いを尊重し、保護者に寄り添いながら、子どもの発達支援に沿った支援プログラムである。

 

ア ねらい

(ア)家族からの相談に対する適切な助言やアタッチメント形成(愛着行動)等への支援

(イ)家庭の子育て環境の整備

(ウ)関係者・関係機関との連携による支援

 

イ 支援内容

(ア)子どもに関する情報の提供と定期的な支援調整

(イ)子育て上の課題の聞きとりと必要な助言

(ウ)子どもの発達上の課題についての気づきの促しとその後の支援

(エ)子どもを支援する輪を広げるための橋渡し

(オ)相談支援専門員との定期的な支援会議や支援計画の調整

(カ)関係者・関係機関の連携による支援体制の構築

(キ)家族支援プログラム(個別の面談等)の実施

 

ウ 支援に当たっての配慮事項

〇 家族支援は、家族が安心して子育てを行うことができるよう、さまざまな家族の負担を軽減していくための物理的及び心理的支援等を行う

〇 家族支援は、大きなストレスや負担にさらされている母親が中心となる場合が多いが、父親や兄弟姉妹、さらには祖父母など、家族全体を支援していく

〇 家族が子どもの障害の特性等を理解していくためのプロセス及び態様に配慮していく。

〇 特に、子どもの障害の特性等の理解の前段階として、「気づき」の支援も重要な家族支援の内容であり、個別性に配慮して慎重に行っていく。

〇 家族支援において明らかとなってくる虐待(ネグレクトを含む)の疑いや心理カウンセリングの必要性など、専門的な支援が必要な場合は、適切な対応を行う。

〇 家族支援を実施する際には、必要に応じて、障害児相談支援事業所、児童発達支援事業所、居宅介護(ホームヘルプ)や短期入所(ショートステイ)等を実施する障害福祉サービス事業所、発達障害者支援センター、児童相談所、専門医療機関、保健所等と緊密な連携を行って実施していく

 

(3)地域支援

「地域支援」とは、 障害のある子どもの地域社会への参加・包容(インクルージョン)を

推進するため、保育所等の子育て支援機関等の関係機関との連携を進め、地域の子育て環境や支援体制の構築を図るための支援プログラムである。

 

ア ねらい

(ア)地域における連携の核としての役割

(イ)地域の子育て環境の構築

(ウ)地域の支援体制の構築

 

イ 支援内容

(ア)児童発達支援センター

(a)保育所等の子育て支援機関との連携(例:保育所等訪問支援、巡回相談支援)

(b)医療機関、保健所、児童相談所等の専門機関との連携

(c)教育機関の関係者等との連携

(d)地域支援の体制の構築のための会議への出席

(e)個別のケース検討のための会議への出席

(f)(自立支援)協議会等への参加

(g)児童発達支援センター等に対する理解促進のための地域への積極的な広報活動

 

(イ)その他との児童発達支援センターとしての機能

(a)連携・ネットワークの中核機関としての役割の発揮

(b)保育所等訪問支援の実施

(c)巡回支援専門員整備事業の実施

 

ウ 支援に当たっての配慮事項

〇 地域支援は、支援を利用する子どもが地域で適切な支援を受けられるよう関係機関等と連携することのみならず、地域全体の子育て支援力を高めるためのネットワークを普段から構築していく

〇 支援を利用する個々の子どもに対する個別の支援会議から生じた課題等を地域の「(自立支援)協議会」において検討するなど、地域全体の課題として取り組んでいくように働きかけていく

 

 〇 地域の支援体制を構築していくために重層的な支援体制が構築できるように協力していく